MBTIが「能力」や「スキル」を測るものではないとしたら、一体何を見ているのでしょうか。一言で言えば、それは「心の利き手(指向)」です 。
■ 「できる」ことと「自然にやれる」ことは違う
皆さんは、今すぐ利き手ではない方の手で、自分の名前を書いてみることができますか? おそらく、「書くことはできる」はずです。しかし、利き手で書くときに比べて時間がかかり、字が歪み、何より「意識して集中しないと書けない」のではないでしょうか。
ユングのタイプ論をベースにしたMBTIの考え方も、これとまったく同じです 。 人間は誰しも、論理的に考えることもあれば、感情に配慮して判断することもあります。どちらも「使うことはできる」のですが、どちらか一方のほうが「より自然に、無理なく、楽に使える」という傾向があります 。これをMBTIでは「指向」と呼びます 。
・能力(Skill):訓練すれば、どちらの手でも字は書ける
・指向(Preference):無意識にペンを握ってしまう、自然な方がある
■ 「利き手ではない手」を使い続けるとどうなるか
仕事において、私たちは常に「利き手」だけを使えるわけではありません。時には、自分の指向とは逆のやり方(利き手ではない手)を求められることもあります。
もちろん、大人になればスキルとして対応することは可能です。しかし、利き手ではない心を使い続けることは、エネルギーを著しく消耗します。
自己理解が深まると、この「自分を突き動かす自然な衝動(モチベーションの源)」がどこにあるのかが分かるようになります 。そして、自分がエネルギーを消耗しやすい業務に取り組む際には、あらかじめ心の準備をしたり、周囲にサポートを求めたりすることができるようになるのです。
■ 人事担当者のためのAction
社員が「ミスが多い」「モチベーションが低い」と感じたとき、それは能力が低いからではなく、今の業務プロセスが彼らの「心の利き手」に合っておらず、過剰にエネルギーを消耗しているからかもしれません。
面談の際には、「何ができるか」だけでなく、「どんなやり方をしている時が一番自然で、疲れを感じにくいか」を問いかけてみてください。そこに、無理なく成果を出すための大きなヒントが隠されています。
