このコラムは全12回の連載シリーズ「こころの利き手に気づくMBTI入門」の第2回です。
自分を知り、他者とよりよく働くために、MBTIを正しく・実践的に学んでいきましょう。
1. 「心のクセ」に注目したユング
MBTIのルーツは、スイスの心理学者カール・G・ユングが考えた「タイプ論」という考え方にあります。
ユングは、「人にはそれぞれ“心の使い方のクセ”があるんじゃないか」と考えました。
たとえば:
- 外向きにエネルギーが向く人と、内向きに向く人がいる
- 感覚で捉える人と、直観で捉える人がいる
そんなふうに、私たちの“ものの見方”や“考え方”には、パターンがあるんじゃないか。
これがMBTIのもとになる発想です。
2. ユングの理論を日常に持ち込んだのは母と娘
このユングの理論を、「もっと日常の人間関係や仕事に活かせるカタチにしよう!」と思ったのが、アメリカのキャサリン・クック・ブリッグスとその娘イザベル・ブリッグス・マイヤーズです。
キャサリンは、子育てをきっかけに「人の違い」に強く関心を持ち、心理学を独学で学びました。
ユングのタイプ論に出会い、「これが広まれば、人間関係のすれ違いが減るかもしれない」と感じたんですね。
そこに第二次世界大戦が重なります。
「人が“自分に向いている仕事”を選べれば、戦時中の人材配置ももっとよくなるかもしれない」
そんな想いから、娘のイザベルと一緒にMBTIの原型を作り始めたんです。
3. MBTIは“違いを活かす道具”として生まれた
MBTIって、もともと「相手と自分の“違い”を知ることで、もっとスムーズに関われるようになろうよ」という発想からできたものです。
「なんでこの人はこんな言い方するんだろう?」「どうして私は疲れやすいんだろう?」
そんな“ちょっとしたイライラ”や“引っかかり”に、ヒントをくれるのがMBTIです。
人と関わるなかで、つい「正しさ」や「常識」で相手を測ってしまうことってありますよね。
でも、そもそも“見ている世界のレンズ”が違ったら、感じ方も行動も違って当然なんです。
4. 「わたしって、こういう見方してたんだな」と気づく瞬間
MBTIを体験した方からは、よくこんな声を聞きます。
- 「相手を“変な人”って決めつけてたのかも」
- 「これまでの衝突の原因が“考え方のクセ”にあると気づいた」
- 「“正解”じゃなく、“違い”を尊重する視点が持てた」
私たちが“違うまま、うまくやっていく”ためのツール。
それが、MBTIです。
次回はこちら → 第3回:MBTIの4つの指標をやさしく解説 ~こころの“利き手”を見つけよう~
次回は、MBTIを構成する4つの指標(外向/内向、感覚/直観、思考/感情、判断/知覚)を、わかりやすく紹介します。
「どっちが正しい」ではなく、「自分はどっちが自然か?」に気づくことが大切な視点になります。
参考サイト・文献
- 日本MBTI協会公式サイト
- JPPジャパン:MBTIを用いた人材開発
- MBTI Manual: A Guide to the Development and Use of the Myers-Briggs Type Indicator (CAPT)
※このコラムはMBTI認定ユーザー 川路隆志(株式会社えんのした代表取締役)による執筆です。