このコラムは全12回の連載シリーズ「こころの利き手に気づくMBTI入門」
自分を知り、他者とよりよく働くために、MBTIを正しく・実践的に学んでいきましょう。
1. MBTIって“診断”じゃないの?
「MBTIって、性格診断でしょ?」
そんなふうに思っている方、多いかもしれません。ネットでは「16タイプ診断」なんて名前でよく見かけますし、SNSでも盛り上がっていますよね。
でも、実はそれ――本物のMBTIとはちょっと違うんです。
MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、「自分の心のクセ=こころの“利き手”」を知るツールなんです。
このコラムでは、企業研修などでMBTIを活用してきた認定ユーザーの私、川路隆志が、「本物のMBTIってなに?」「仕事でどう活かせるの?」という疑問にお答えしていきます。
2. MBTIの正体は“指標”です
まず最初に強調しておきたいのは、MBTIは診断ではないということ。
誰かに「あなたはこのタイプです」と言われて終わり、ではありません。
MBTIの正式なプロセスでは、質問紙に答えたあと、自分自身で“しっくりくるタイプ(ベストフィットタイプ)”を見つけることが大事なんです。
つまり、MBTIは「診断される」ものではなく、「自分で選びとる」もの。
これは、結果をもとに「自分らしさって何だろう?」とじっくり向き合うプロセスでもあります。
3. MBTIって何のためにあるの?
MBTIの目的は、人を分類することでも、性格を固定することでもありません。
ポイントは、「自分の傾向に気づく」こと、そして「他人との違いを理解する」こと。
たとえば企業研修では、こんな声をよく聞きます。
- 「上司と考え方が合わなかったのは“性格”じゃなく“見方の違い”だった」
- 「部下の反応がイライラする理由がようやくわかった」
- 「チームの多様性って、ちゃんと意味があるんだと実感した」
つまりMBTIは、**違いを受け入れ、チームで補い合うための“共通言語”**なんです。
4. タイプはラベルじゃない
「私は○○タイプだから○○な人間なんです」 「あなたって○○タイプだから苦手なんだよね」
――これ、MBTIを知るうえでよくある誤解です。
MBTIで示されるのは「傾向」であって、「性格」でも「能力」でもありません。
同じタイプでも人それぞれ違いますし、タイプだけで人を判断するのは本末転倒。
MBTIは、「自分と違う人の見方を理解し、関わり方を工夫していく」ためのヒントをくれるものなんです。
5. 一度、ちゃんと体験してみてほしい
MBTIは、認定ユーザーによる丁寧なフィードバックとセットで受けてこそ、真価を発揮します。
ネット上にある簡易テストでは分からない、深い“気づき”や“納得感”が得られるのが、正式なMBTIセッションの魅力です。
もし「自分の強みをもっと活かしたい」「人との違いを前向きに捉えたい」と思っているなら、 一度、本物のMBTIを体験してみてください。
次回はこちら → 第2回:ユングとブリッグス母娘の物語 ~なぜMBTIは生まれたのか?~
MBTIって、誰が、どんな想いでつくったの? 次回は、心理学者ユングの理論と、それを現実のツールに仕上げたブリッグス母娘の物語をご紹介します。
参考サイト・文献
- 日本MBTI協会公式サイト
- JPPジャパン:MBTIを用いた人材開発
- MBTI Manual: A Guide to the Development and Use of the Myers-Briggs Type Indicator (CAPT)
※このコラムはMBTI認定ユーザー 川路隆志(株式会社えんのした代表取締役)による執筆です。