AIは、堂々と間違えます。それも、実にもっともらしく。経営者がいちばん警戒すべきは、この「それっぽい嘘」です。
■ AIは自信満々に間違える
AIは、知らないことでも、知っているかのように答えます。ときには、出典らしきものまで添えて。文章は流暢で、口調は自信に満ちている。だからこそ、その分野に詳しくない人には、どこが嘘なのか見抜けません。流暢さと正しさは、別のものです。ここが、AIのいちばん危ういところです。
■ 自社での実践:専門領域だから気づけた
私も、自分の専門である組織開発の分野で、AIの答えに「それは違う」と気づいた経験が何度もあります。理屈は通っているように見えても、現場を知っていれば違和感が分かる。
逆に言えば、専門外のことだったら、私もそのまま信じていたかもしれません。見抜けたのは、ただ知識があったからです。これは、少し怖いことでもあります。
■ 専門性こそ、最後の砦
AIが広まるほど、誰もが「それっぽい答え」を手に入れられるようになります。だからこそ、その答えの良し悪しを判断できる専門性の価値が、むしろ上がっていきます。
AIは答えを民主化しますが、答えを評価する力までは配ってくれません。専門性は、AI時代に消えるどころか、最後の砦になる。これは、人を育てる会社にとって、大事な希望でもあります。
■ 組織開発の視点:検証する文化
組織として見ても、AIの出力をそのまま流してしまう文化は危うい。重要な判断ほど、専門を持つ人が検証する仕組みが要ります。
誰かが「本当にそうか」と問える組織は、AIを使っても間違えにくい。逆に、誰も問わない組織は、もっともらしい嘘を、そのまま意思決定に乗せてしまいます。検証する力は、個人の力であると同時に、組織の力でもあるのです。
■ 経営者のためのAction
重要な事柄は、AIの答えを鵜呑みにせず、根拠を出させて確かめてください。「この主張の出典と、反対意見も挙げて」と頼むと、嘘やあやしさが浮かび上がってきます。
そして、自分の専門領域だけは、最後は自分の目で検証する。その一手間が、会社を「それっぽい嘘」から守ります。AIを信じるのではなく、AIを使いこなす。その差を生むのが、あなたの専門性です。
