AIで効率化しようとして、かえって時間を溶かしてしまう。これ、本当によくあります。ツール選びや設定に何時間もかけ、気づけば本来やるべき仕事が進んでいない。経営者ほど、この罠にはまりやすいものです。
■ 手段が目的になる罠
新しいAIツールは、触っていて楽しいものです。だから、つい「もっと便利にできないか」と凝り始める。効率化のための作業が、いつのまにかそれ自体の目的になってしまう。効率化したはずなのに、効率化に時間を使っている。本末が転倒しているのです。
■ 自社での実践:凝りすぎて溶かした時間
私自身、自動化の仕組みを作り込もうとして、半日を溶かしたことがあります。あとでよく考えたら、その作業は月に一度しか発生しないものでした。手でやれば五分で終わる。「何時間かけて、何を、どれだけの時間に変えるのか」を先に考えていなかったのです。楽しさに引っぱられて、割に合わない効率化に突っ走っていました。
■ 仕組み化の前に問うべきこと
効率化に手をつける前に問うべきは、二つです。これは本当に繰り返す仕事か。そして、何のための仕事か。
毎日のように繰り返す仕事なら、仕組み化の価値があります。けれども、たまにしか起きない仕事を凝って自動化しても、かけた手間の元は取れません。仕組み化は、頻度と目的を見極めてからでも遅くないのです。
■ 組織開発の視点:目的と手段、業務の棚卸し
組織を見直すときも、まったく同じです。まず業務を棚卸しし、それぞれが何のための仕事かを問い直してから、手段を考える。手段から入ると、本来やめるべき仕事まで、丁寧に効率化してしまいます。やめるべき仕事を効率化するほど、無駄なことはありません。効率化の前に、まず「やめる」という選択肢を持つことです。
■ 経営者のためのAction
効率化に着手する前に、AIと一緒に計算してみてください。「この作業は月に何回発生し、一回あたり何分かかるか。自動化に何時間かかり、何ヶ月で元が取れるか」。AIは、こうした試算が得意です。
計算して、割に合わないと分かったなら、効率化しない、という判断も立派な経営判断です。時間を生むための効率化で、時間を溶かさないこと。順番を間違えないでください。
